色筆の記録

玩具・物好き

飛騨の主

最強王図鑑選抜編  ④両面宿儺

説明 8本の手足で攻撃できる武人

ふたつの顔、4本の腕、4本の脚をもつという変わった姿をした鬼神で、それぞれ反対側を向いている。力もあって身軽なので、戦士としてはかなり優秀。

伝承地域:岐阜県

推定体長:300㎝

出典:「日本書記」「千光寺記」ほか斧を装備している話もあるので、その伝承の要素でしょうか。単純に立たせにくく、剣や矢の先も曲がっているのが残念なところ。大和朝廷に従わなかった飛騨地方(現在の岐阜県北部)の豪族とされ、飛騨では土着神ともされます。

姿については、土蜘蛛羽白熊鷲と同じく、朝廷に服さない者に対する蔑視も込めた形容とも、本当に伝承通りの結合性双生児(頭や腰が繋がった状態)説も。

見た目はローマ神話の扉の守護神ヤーヌス(英語で1月を表すJanuaryの語源)と似ていますが、多面一身というだけなら、「古事記」には伊予之二名島(四国島)・筑紫島(九州島)が四面一身の神として語られているようです。

日本書紀」では仁徳天皇(大雀命、おほさざきのみこと)の時代に、和邇(わに)氏の祖・武振熊(たけふるくま)に敗れたとされますが、武振熊が活躍したのは神功皇后応神天皇の時代のため、整合性が無いとされます。これに関しては、朝廷にやられた両面宿儺を崇める者達がその後も隠れて信仰を残し、後世に「仏教の守護者」として、その存在を認めさせようとしたためとも考えられているようです。

(似た事例として、神農の子孫蚩尤(しゆう)や、仏教を守護する阿修羅と習合された、ゾロアスター教アフラ・マズダーことアスラ神族のヴァルナがある)

また、両面宿儺が位山(高山市一宮町)の鬼・七儺(しちな)を、天皇の命で討ったという話や、高沢山の毒龍を制した話も残されています。

似た名前の武内宿禰との関係は不明。